2010.01.08

登山の魅力とは?

昨年末に起きた、片山右京の富士山遭難事故以来、登山に興味を持っている。とはいっても、自分が登山をしたいというのではなくて、高所登山の過酷さと、それでもなお人々を惹きつける理由を知りたいと思ったのだ。そんな話をしたら、noirさん夫婦が2冊の本を貸してくれた。

2冊とも、1996年5月に9人の犠牲者を出したエベレスト遭難事故が題材となっている。

空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫)「空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」

登山の営利事業化と付き添いガイドの問題点を取材するためにエベレスト遠征隊に加わったアウトドア誌のライターで、自身もクライマーであるジョン・クラカワーが筆者。世界的なベストセラーにもなった。事故後、自分の記憶だけに頼らず、当事者たちにインタビューをして事実をできるだけ正確に記載したとのこと。素人の私にもわかりやすい記述で、高所登山がどのように行われるのか、とても勉強になった。同時期に登頂を目指した遠征隊の人たちもたくさん登場するので、ちょっとややこしい。


零下51度からの生還 エヴェレストの悲劇――死の淵から蘇った男 (光文社文庫)「零下51度からの生還 エヴェレストの悲劇――死の淵から蘇った男」

上記のジョン・クラカワーと同じ遠征隊に属していたクライマーで、一度は死んだと思われて置き去りにされた後、奇跡の生還を果たしたベッグ・ウェザーズの手記。一緒に置き去りにされたのが、日本人の難波康子さんということで興味深く読んだが、途中からは筆者の登山歴とか家族関係とか人生観が主題になってしまったので、あまり面白くなくなった。

以下、私が初めて知って驚いたこと。

・営利事業を目的として組織された遠征隊が数多く存在すること。クライマーであるガイドが世界中に顧客を募り、その顧客を寄せ集めて遠征隊を結成する。その遠征隊に参加してエベレストに登頂するための費用は、1人約700万円、期間は2ヶ月。顧客には医者や弁護士が多い。遠征隊は、現地ネパールの少数民族で登山ガイドをするシェルパを数名雇い、そのシェルパは、顧客の登頂に先立って、数ヶ所のキャンプを設営し、ルート上にロープや梯子をかけ、食料や酸素ボンベなどの大量の荷物をキャンプに運び上げる。そういうの、全部クライマー自身が行っているのだと思ってた!

・高所順化のため、頂上を目指す前に、ある程度の高所でトレッキングを行う。無駄に体力を使うように思えるけど、いきなり高所に行くほうがよっぽど危険らしいのだ。

・極端な高所では、その場にいるだけで、高所性肺水腫とか脳浮腫など高度障害に陥る危険がある。

・エベレストの上のほうには、遭難事故で亡くなった方の遺体がゴロゴロしている。高所から遺体をおろすだけでも大変な作業なので、そのままになっていることも多い。

先日ちょうど、NHKのドキュメンタリーで、エベレストの単独無酸素登頂を目指す27歳のイケメン登山家、栗城史多くんの特集をしていた。この本を読み終えたばかりだったので食い入るように見てしまったが、残念ながら今回は登頂は果たせず。高所登山を成功させるためには、体力、精神力、判断力、運など、たくさんの要素が必要らしい。命を賭けてまでエベレストを目指す人たちの気持ちが、私にはやはりわからない。
この記事へのトラックバックURL
http://crazytomo69.blog39.fc2.com/tb.php/802-e088e546
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
右京さんと登山のつながりを知らなかったので、遭難の記事を読んだときにはびっくりしました。
登山は、やってみたいとは思いませんが、山頂には命懸けでもやりたいほどの魅力があるのでしょうね。

エベレストなどでシェルパの人たちが荷物を運ぶというのを知って以来、彼らが自分で登頂したら、どんどん記録が更新できるんじゃないかと思ってしまうのです。
下の方とはいえ、エベレストに住んでいるのですものね。
Posted by daysofWLA at 2010.01.09 16:25 | 編集
片山右京。張子の虎走法(笑)
F1が好きで、彼のデビュー戦から引退戦まで見ていたので、ドライバーのイメージが強かったのですが、今では「元F1ドライバー」だけでなく、「冒険家」の肩書きが付くのですよね。


登山。特に冬山登山をしたいと思ったことがないので、あたしもあれだけの荷物を背負って、苦難を乗り越えてまで山に登る人がいるのが何だか不思議。
何かとてもつもない魅力があるのでしょうね…。

会社にアルバイトに来ている男の子が山岳部なのですが、彼は夏山より冬山が好きなんだそうです。
理由は「冬のが涼しいから」だそうです。
…寒がりのあたしにとっては不思議な発言でした(笑)
Posted by がら at 2010.01.10 17:56 | 編集
もう両方とも読まれたのですねー。2冊目のほうは、私も途中からあきてきてしまいました。やっぱりプロのルポライターの書いた1冊目のほうが客観的で分かりやすいですよね。
私も山登りする人の気持ちが全然分かりません。そしてこの2冊を読んですっかりエベレストに対するイメージも変わってしまいました。よくも悪くも...

トムから借りた本読んでますよ~。
今年もどうぞよろしくお願いします!
Posted by noir at 2010.01.10 19:59 | 編集
私も片山右京に続いて中年夫婦が救出された事件をニュースで見て、登山の魅力について考えていました。世の中には難病で苦しんでいる人がいるのに、なぜ健康でありながら死のリスクを背負って冬山に挑むのか?誰も死にたいと思って登るわけではないので、自分は大丈夫という楽観主義者なのかしら?それとも命をかけたスリルがいいの???そういえば結婚する時に夫に登山とバイクはやらないでと頼んだような気がします。
Posted by ゆーこ at 2010.01.11 09:24 | 編集
>daysofWLAさん
私も右京さんが登山家に転身したことは知りませんでした。登山は、お金がすごくかかるようですが、ちゃんとスポンサーがつくのでしょうかね。それともレーサー時代に稼いだお金がたくさんあるのかなー。
シェルパが荷物を運ぶこと、ご存知だったのですね~。有能なシェルパは、実際何度もエベレストに登頂しているようなので、登山家としての実力は十分あるのでしょう。でもシェルパは仕事として山に登っているのだから、お金がもらえないのに山に登る人はいないのかもしれません。そしてガイドとしてのプロ意識があるからこそ、無酸素とか単独での登頂を目指すことはないのでしょうね。

>がらさん
そういえばがらさんはF1がお好きだから、レーサーとしての右京さんにもお詳しいのですねー。子供の頃から登山や自転車がお好きだったようです。レースもある意味、命懸けのスポーツだから、山登りとの共通点はあるのかもしれません。
冬山の登山は、さらに厳しいということがこの本を読んでよくわかりました。凍傷も怖いですよね~。手や指を切断せざるを得ないことはよくあるみたいです。
アルバイトの男の子の発言、冬のほうが涼しいからって・・・(笑)。あまり高い山でなければ、それほど寒くないのでしょうかね。夏でも山の上のほうは涼しいのではないかなー。

>noirさん
そういえば、新年のご挨拶がまだでしたね(笑)。こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
お借りした本はとても面白かったので、2冊一気に読みましたよー。遭難して亡くなった人々が、それぞれどういう状況で命を落としたのかというくだりが一番興味深かったです。どうせ死ぬなら雪山で眠るように死ぬのがいいと思っていたのは、撤回しようと思います(笑)。凍傷はつらそうだー。

>ゆーこさん
毎年この時期になると、冬山登山の遭難のニュースが届きますよね。登山は体力がいると思うのですが、けっこう年配の人(女性も)が山に登っているのを知って、何がそんなに魅力的なのだろうと気になっていました。「山頂から見る景色が素晴らしい」という理由だけではないはず。
上記の筆者、ベッグ・ウェザーズという人は、心のどこかにずっと自殺願望があったのかもしれないと書いていました。それにしてもお互い、夫が登山が趣味じゃなくて良かったですね~。
Posted by tomo at 2010.01.12 15:02 | 編集
管理者にだけ表示を許可する